私は東京のある企業に就職が決まり研修を受講するため、会社が準備してくれたマンスリーマンションで3カ月を過ごしました。
実家は九州で、大学時代も広島の親戚の家にお世話になっていた私にとって東京で暮らす事は、例え3カ月といえども大変不安でした。
初めて東京駅に降り立ち、田舎では見た事のない人の多さと歩く速さに圧倒され、これから本当にこの東京で私が住めるのだろうかと、新たな不安と緊張で胸が張り裂けそうになりました。
会社の担当者が事前に郵送してくれた地図を頼りに、地下鉄を乗り継いで該当駅に降り、迷いながらもそれらしき場所にようやくたどり着いたのは夕暮れ時でした。
その場所には、大きく立派なガラス扉のある高層ビルが建っており、ガラス越しに中をそっと覗くとフロントらしきものがあり、黒い背広を着こなしたホテルマンが数名立っているのが見えました。
確かに地図でもう一度確認すると、私が泊まるはずのマンスリーマンションの該当地でした。
ただ、マンスリーマンションというものが、当時の私には田舎にあった学生アパートのようなイメージを描いていましたので、高級ホテルのような外観に圧倒され、ここではないと戸惑っていたのです。
そんな私の様子を察して、中から先程見かけたフロントの男性が声をかけてくれて、私が地図を見せると、お待ちしていました、とにこやかに迎え入れてくれました。
部屋に案内されると、ホテルの一室のような白い壁に、電化製品や家具なども設置されており、東京での第一夜は安心して心地よい眠りにつきました。
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